旅するチェリスト水谷川(みやがわ)優子のブログ

2010-10-02 Sat 23:15
ハーゲンQコンサート私感
今日の日付で2度アップしてしまうことになりますが、ごめんなさい。


先ほどトッパンホールで来日中のハーゲン・クァルテットの演奏を伺ってきました。

こちらは「ハーゲン・プロジェクト2010」と銘打たれたトッパンホールの10周年企画、3日間の連続公演の中日。

もともと今日しか空いていない上に、チケットはもちろん夏前に完売!

…ということで今回は挫折しかかっていたのですが、なんとも運の良いことに音楽好きの友人が「ペア券が取れていたから」と誘ってくださったもの。

  K美さん、ありがとうございました!!

…で、久々にお目にかかった恩師たち(母校モーツァルテウム音楽院で2nd.ヴァイオリンのライナーにピアノ三重奏を、ヴィオラのヴェロニカには弦楽四重奏を教えて戴いていました)、なにやら微妙に恰幅が良くなられたりして見かけも「円熟期」?

いえいえ、舞台上でのオーラがさらに増した彼ら…
終わってから挨拶に行きましたが、相変わらずヴェロニカはチャーミングで見惚れるほど美しいし、ライナーの深くて優しいまん丸な瞳も健在。いつもオープンなクレーメンスも変わらずフレンドリーで、シャイでなルーカスの穏やかな微笑みもそのまま…やっぱり昔に+して深みが増してようで本当に素敵。

 さて肝心の演奏は…


期待と興奮に満ち溢れる観客席のざわめきが静まり、息を整えた瞬間に舞台に現れた奏者たち…

 軽い緊張感を持って滑り出したウェーベルンの世界。
 冴えた月に照らされて細い細い銀鎖に巻かれていくような気がする。

 最初の一音から自分の身体全体がアンテナになる…
 耳や目だけでなく、全身の肌が音を捉えている。
 覚醒していく。

そこに降り注ぐ音は粒子の細かい光りのシャワーのよう。
息もできずに聴いて、いえ、受けていました。

 アタマの中の雑音があっという間に霧散していった…

 そして、シューベルトの「ロザムンデ」
 進めば進むほどアンテナが深く、そして360度に広がってゆく。

そして心の扉が勝手に開いていくのに気が付くのです。

日本で忙しくなって雑多な生活を送ると、チェロに触れていない時以外は、まるで貝のように閉じてしまう-心の深い深いところにある扉の数々-

ザルツブルクで吸収した、あの息遣いにそれらは次々に開かれていく。
気が付くと、感情も感傷も関係ないところで涙していました。

 終曲はラズモフスキーの第2番。

 冒頭の一音から「ベートーヴェンのあのエネルギー」が満ち溢れる。
 変貌する水の流れに深い森の緑の息吹…

最後は体の中を吹き荒れる嵐が通過していくようでした。

 理屈いらない。
 アタマいらない。

いま身体の奥底で静かに共鳴しているものがあります。

 ありがとう。
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2010-01-20 Wed 16:54
生き様を刻んだバッハ
20100120164647.jpg
今日は久々に暖かいですね!

身体も緩んでストレッチいらず…しかし今は寒~い雪の地方に向かっています(>_<)

連日デスクワークとコンサートの打ち合わせに追われ、気を引きしめないとまた一年飛んでいきそう。


さて月曜日は藤原真理さんのバッハ無伴奏組曲リサイタルに伺ってきました。

これは毎年お誕生日に武蔵野市民文化会館でバッハ全曲を弾かれるというスゴい企画です!

すぐ完売になるコンサートというので諦めていたところ、ラッキーにも御本人からお席を戴いてしまいました。


実は真理さんと私のイタリアでの師匠、故マエストロ・ボヌッチは、「チェロの貴公子」と呼ばれたP・フルニエ氏のもとで一緒に研鑽を積まれた仲間で、その関係でイタリアの講習会に遊びにいらした真理さんにお目にかかって現在に至るのです。

こちらとしては「藤原真理」さんといえば子供のころから神様のように仰いでいた存在…

CDも持っているし、留学先ではエッセイ集がバイブルで読み返し読み返してエピソードを諳んじていたくらい。
それにコンクールでは審査する人とされる人の立場だったこともあるし…もう天界人と地上人のように思っていた方です。

留学生時代は幾度かレッスンもして戴いたこと(厳しかった!)もありますが、それが、だんだんと御一緒にワインを飲んだり、語り合ったり、なんとお泊まりに伺ったりに移行。

 今や神様は結構気さくに付き合ってくださるのでした。

お忙しいので最近はメールばかりですが、実にチャーミングで本当に素敵な方です。


で、バッハ!
3部に分かれたコンサートの冒頭になんと第5番と6番を持ってこられました!(次が4と2、最後が3と1)

まずは、その気概にノックアウトされ…

あとは孤高の人がエベレストに登られるのを見守る…というか一緒に登らせて戴いた、というか…

一点の妥協をも赦さぬ真理さんの、キレの良い弓使い、明瞭な左手、突き詰めたフレージングに圧倒されました。

帰りは軽く熱っぽかったくらい…

止まらずに進化をし続けられる、こういう大先輩が日本にいらして、本当に有り難く、感動をもって深く感謝申し上げています。


3月には私も5番(今回初めてオリジナルの調弦で-AをGに下げる-弾く予定。やはりハ短調の響きがダントツに良くなりますね)を鎌倉と東京で弾かせて戴きます。(それでも六分の一!)

バッハは非常に個人的なもの…
人それぞれアプローチは全く違うものになるけれど、大先輩の生き様を刻んだバッハは大変刺激になりました。
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2009-12-29 Tue 04:18
ベルリンで観た「アバター」:お薦め!
年の瀬が音を立てて押し寄せてきている気配…
皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

ドイツに来てみれば、演奏家 の友人たちはこぞって風邪ひき揃い!
おかしいのが、みんな「今年最後のコンサート」を弾き終えた翌日に熱を出したりしていること。
今年のヨーロッパの寒波のせいではなくて、年末に出てくる一年の疲れなのでしょうね。

私はすこぶる元気(よく寝ています。連続12時間とか)で、
ベルリンのクリスマス市の写真もアップしないうちに
昨日の27日からデュッセルドルフに来ております。
IMG_4250b.jpg←雪が溶けたベルリン市内
仲の良いオルフェウス・カルテット+家族メンバーが集まって
リハーサル(私は練習)を兼ねての合宿状態です。
(彼らとの次回共演作品はシューベルトの五重奏。チェロ2本、不屈の名曲ですね!)

このまま大晦日ー年明けの儀式はこちらで行う予定。

で、まだベルリンにおりました一昨日のこと。
M夫のサプライズ(というか強制?)で映画が予約されており…
IMG_4294b.jpg観たのが
これ『アバター』

 ええ~これ観るの?
 これってSF?!
 主人公の顔が青い話でしょ~!

との抵抗も虚しく
『まあまあ、あのジェームズ・キャメロン(タイタニックの監督)が14年間も構想を練った作品なんだから…』
IMG_4285b.jpgと連れて行かれた先はベルリンのソニーセンターでした。
ここは1日に7万人もの人が訪れる観光名所にもなっているPotsdamer Platzにある複合施設で
ベルリン国際映画祭も行われている場所だそう。

そういえば去年、「カンフーパンダ」のPR中だったジャック・ブラックに遭遇したのもここでした。

お目当てはここのシネプレックスにある3D映画館のシネスター・アイマックス。
なぜならば「アバター」は3D作品なのです!

そして、こちらがヨーロッパで最も大きいとされるスクリーン。
IMG_4302.jpg客席は300少しくらい。もっと大きいのは500席を超えます。

で…笑える巨大3DメガネIMG_4300b.jpgワタクシの鼻には合いませぬようで…

そして、この映画なんと161分もかかるのでした。
3Dですし、さすがに長時間の上映は目が疲れます。
なので途中10分休憩を挟んでの上映でした。

お話はM夫曰く『ニュー・ポカホンタス』が納得のシンプルなストーリーですが
なにせ、やっぱり映像で入ってくる情報量が凄い。
目だけでなくアタマにも休憩がありがたく思えました。

もう1つ笑えたのがスナック類。IMG_4297b.jpgこれはLサイズの水。
1リットルです。

隣の人はバケツ(サイズ)に入ったポップコーンを貪っていました。
 凄すぎる…
さすがドイツ人!胃のサイズが違います。

そして映画の内容ですが…

 面白かった!!161分が短く感じられました。

とくに素晴らしかったのは、その景色です。
他の人は違うところで感動するのかもしれませんが
物語の舞台「衛星パンドラ」での見たことも無い豊かな自然に心奪われました。

夢のような空間に心躍りました。
青い人たちの仲間になって、あそこに住みたい(あれだけ動けたら!)と思ったくらい。
こんなに美しいのであれば3Dでなくても、感動したかも?!
いえ、やっぱり3Dでの「リアル感」は「2D+人並みはずれた想像力」を超えるのでしょう。
色んな香りや味までした気がします。

 ちなみにベルリンでは今のところ3Dはドイツ語のみ。 
 オリジナルの英語で観たい人は2Dで、どうぞとのこと。

キャメロン監督、この脚本を書いたのが1994年だったそうです。
ストーリーの上では文字通りに『繋がる』ことがキーポイントになりますが、
なんとも、いろいろタイムリーなこと!

主人公の与えられたアバターは感じることのできる媒体

それに引き換え
強欲で目に見えるものと自分の力(暴力)だけを信じる侵略者(繋がらない者/破壊する者)
たちが使うプリミティブなメカが野蛮なアバターに映りました。

 我々が良い方向に進化せず
 時間とともに失うばかり、という証拠のような映画でもあります。

色んなことに、いま気がつかねば、と。
「どちらが本当の世界なんだ」と迷う主人公の姿は私たち そのものでした。
実は何を選択すべきかは明白な筈なのですよね。

 自然破壊だけじゃなくて
 侵略だけでなくて
 文化破壊だって同じこと!!

全世界同時公開だったはずが、なぜだか日本だけ一週間遅れの12/23封切りとなったみたいですね。
お薦めの◎ですので、是非とも御覧になってください!IMG_4295b.jpg
<ソニーセンターの巨大クリスマスツリー>
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2007-04-17 Tue 18:22
London Symphony Orchestra & Harding そしてランラン!
連続記事アップしております!

今日は本当はこのようなこと20070304151238.jpg
をする日であった筈が、舞戻って来た風邪のためやっぱり潮風は避けておきました。そうしたら案の定の雨!
大きなお船…南極観測船しらせによる東京湾航海(晴海→横須賀)のクルーズだったのに、残念!

という訳で昨日はロンドン交響楽団のコンサートに伺っていました。突然に御招き戴いたものでプログラムも知らずに飛び込んだら、なんとハーディング指揮、しかも前半はランランのソロでモーツァルトのピアノ協奏曲17番!この曲は何度も弾いているからよーく知っているし、前回ドイツでもあちこちでランランの顔を見ていて(ベルリンの広告塔でも、雑誌の表紙でも!彼はなんとロレックスとアウディの<顔>でもあるんですもの)聴きたいと思っていた所でした。もう何年も前、彼が未だデビューしていなかった頃にドイツで友人のピアニストである父上が『中国人の男の子でもの凄いピアノ弾くのがいるぞ!!』と仰っていたのを思い出しましたが、モーツァルトに対するリスペクトからくるものか、自分の音をよく抑制し、ハーディングの鳴らす弦の音に寄り添う所も見られる…思っていたよりも大人な演奏で驚きました。そのPやPPの美しい事!そういえば彼ももう今年25歳、どんどん加速して成長しているのでしょうね。((ここだけの話しですが、昔はちょっと丸い感じで御顔がほりえもんっぽかったのですが、頬もすっきりとしていましたartist_langlang.jpg
200601MULanglang1.jpg
こんな感じ。ランラン=langlang=郎朗=どうやら輝くという意味らしい。名の通りの子に育ちました。))アンコールの中国の春という曲では期待にそって爆発!その優れた身体能力の全てを使って(それでも抑制しているのかもしれませんが)音を花開かせていました。こんな身体だったら何でも出来るなあ、と些かあっけに取られたくらい。丁度、先日ルフトハンザ機内で彼の新しいアルバム『ドラゴンソング』をちらりと耳にしたばかりですが、やっぱり<お国の曲>は他人の追従を許さない感じに生き生きしています。一言で彼を表現するなら『驚異的な』ピアニストかな。いやあ、面白かった。
舞台の明るい大らかな感じのまま、コンサート後に行われたレセプションではスピーチしていました。ちなみに黒いジャケット、黒パンツにピンク(フーシャピンク)と赤のスカーフ。。。似合っていました。
後半はマーラーの5番、LSOはなかなか美しい響きでした。イギリスのオーケストラっぽいリズム感があって、弦だけになると時々ハイドンや、ヘンデルみたいな音になる。透明感があって後ろ足を軽く跳ね上げる感じです。ハーディングという人は現在31歳、素晴らしい集中力!!マーラーとして聴いたら、オーストリアやドイツで馴染んでいた音とは全然違う。でも正直な事を言ったら昨晩は体力が無くて(風邪のぶり返し)ウィーン風マーラーはちとキツかったので、この様な明朗なマーラーが新鮮で良かった。退廃的な空気やユダヤの血の濃さ、拭いきれない十字架の存在などは一切感じられず、いや徹底的に排除して、ハーディングが楽譜を一から読み直し、立体的に作ったのには脱帽です。舞台でもそうだし、近くで見ても小柄な(に見える)この人の何処にこんなエネルギーがあるのでしょう。他のものも聴いてみたくなりました!
最近、人のコンサートに行くのが珍しい私。日本ではなおさらです。
でも、風邪でも伺って良かったなあ。
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2007-04-06 Fri 22:20
ヒーローペンギン
いやあ、今年の桜には翻弄されました。温暖化と関係あるのか、ないのか。。。
3月半ばに満開と予想されながら結局は気温が下がり、冷凍保存状態されて例年並みの開花。ドイツからの帰国が桜に間に合ったかと喜べば、しかし東舞鶴湾の有名な桜並木は未だ0.5分咲きだったし、能登では蕾…極めつけ関東に戻ってみれば桜というよりは<新緑の世界>になりつつあるではありませんか!姫路の友人宅でのライトアップされた一本の桜…その横でゆっくり時を過ごせたのが唯一の<今年の思ひで>か。。。
いや、明日は友人と鎌倉の桜の下を散歩する事になっているのです。葉桜でもいいから頑張って目に焼き付けて来ようっと。

さて、そういえば先日機内で「寝なきゃ」と言いながら横目で見てしまった<ハッピーフィート>、中味を要約すると<自然界のバランスを崩されたペンちゃん達が自分たちの苦境を人間にタップダンスで訴える>という環境破壊批判のメッセージが、可愛くラッピングされた映画でした。
T0005155.jpg

http://wwws.warnerbros.co.jp/happyfeet/ぷくぷく体型が愛おしい。

で、フームと思いながら家に着いたらドイツの友から「これを見るよーに」とのメール。
WWFのサイトでした。WWFについて日本語の説明はこちら→>http://www.wwf.or.jp/aboutwwf/index.htm
ほらパンダのマークの↓この団体です。目になさった事あるでしょ?(ウチのスイスに住む甥もこのパンダグッズを欲しがってた…)
WWF-logo.gif

そして見たのはこちら↓
ダビンチコードの動物版!『誰がシロクマを殺したのか??』と。
主人公はまたもやペンギン教授でした。
biodaversity_code_poster_125759.jpg
http://www.daversitycode.com/ご興味が御有りの方はどうぞ。



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