ベルリン・ライフの呟き その1<食べる事から>
本当は今10月過ぎています!
文を書き始めながら、またまた旅に出ていたもので思いっきりタイムラグがあります!ごめんなさいまし。。。でも過去の日付で出しておこう。
この頃はこんなに↓<夏>だったドイツ、日本より暑かった。
午前中:プッチーニのオペラ「ラ ボエーム」の勢いに乗り、キッチン&バスルームの総点検+大掃除。一幕の出だしに勇気を得て不必要な物は大処分。
この夏はフィンランドと日本を2往復し、ドイツには寄らなかったので、ベルリンの自宅に足を踏み入れたのは5月以来!丸々3ヶ月ご無沙汰した我が家、衣替えどころか、先ず何が置いてあったか思い出さないと…
日常品の買い物の前に馴染みの楽器屋さんにて替え弦を買い、ついでに遅昼をその界隈にある<アロマ>という点心と鴨料理で有名な広東料理屋さんで。テーブルの上に置いてある自家製辣油の隣にあるのはどう見てもキッコーマンの瓶なのに、お醤油の味が違う。強いていえば微妙に魚醤っぽい風味です。友人と二人で大根餅や海老の蒸し餃子、中華風スペアリブなどなど頼みましたが、香辛料も利いていて、なかなか美味しい。先日、表参道の<糖朝>で食べた大根餅の味を思い出したけれど、やっぱりあれは日本向きな癖の無い物だったのね。それはそれで『東京・表参道』に似合った味でした。「洗練された味」というのかな。
ところでドイツに限らずヨーロッパにおいてのアジア料理一般は「本国の人が食べたらさぞトホホだろうな…」と思う様な、いい加減な物が少なくない。それは材料や調味料が手に入りにくい事も勿論あるけれど、○○料理なんだけど△△人が料理していたり、××人が経営者だったりして、その料理への誇りや愛情が不足してるパターンも多くある。それから、その滞在国の人たちへの『どうせ、わかりゃあしないもん』という諦めや不貞腐れもあるのかな。良く有る事で、店の閉まる午後に奥のテーブルでコックさんや給仕の人たちが食べてるシンプルな賄い料理が一番美味しそうだったりする。
その昔、留学先のザルツブルグでは地元の友人が「凄く美味しい」という触れ込みで連れて行ってくれた中華料理屋さんで出合ったラーメンは衝撃でした。固形コンソメ味のスープに生の赤ピーマンが浮かんだ物に茹で過ぎのスパゲッティーが入っていたんだもの。いやあ、あれはショックでした。色んな意味で…去年だったかドイツ人の友人が「姉がアメリカで研修のためにホームステイしたんだけど、家の中を案内された時に『これはマイクロウェーヴというの。なんでも温める事が出来るのよ、便利でしょう?』とか『洗うものがあったら遠慮なく言ってね、機械があるから手で洗わなくて良いのよ』って電子レンジから洗濯機まで、全ての家庭電気用品について説明があったんだって。しかも掃除機なんかドイツ製だったって!信じられない!!」と激昂していたのを思い出します。友人姉はトホホ・モードに入り、善良なホストファミリーに何の<申し開き>もしなかったそう…その気持ちは良くわかります。先週だって他のドイツの友人が頭にお箸差してたし(彼女が無邪気なので、微笑んでおきました)、チャイナドレスに下駄を履いてる人がいたり、お守りのお札をネックレスとして下げてたり…そんなの普通。いいの、似合っていれば。
流石にフィンランド人のオジさんに『日本人は毒の魚を紐で板に縛って生きたまま食べる(河豚のこと?)そうだが、本当だろうか?勇気ある証明なのか?』と尋ねられた時は本気で説明しましたけれど。
イメージはカリカチュアになり易いもの。お互いに勘違いはあります。
話しが随分ズレましたが、とにかく何処の国でも通用するー失敗を避ける為の永遠の規則ーとしては『有名店でも観光客の集まる店は味が落ちているので避ける』『その国人が食べにいくお店は美味しい(韓国料理なら韓国人とか)』の二つが挙げられます。なんて、当たり前ですね。
さて午後は、プロの料理人として三ツ星レストランで働いた事もあるジャズサックス奏者のハリーおじさんに教えてもらっていたスペインのスーパーマーケットに立ち寄り、スペイン産オリーブオイルやスペインワインを、イタリアパスタも充実している。その後、家の近所のチーズ屋さんでリバロやマンチェゴ、カマンベールのカルバドスで洗ってあるもの、そしてアッペンツェラーの4種類と、ついでに野苺のお酢を買う。ここのお店は樽から持参した瓶に入れてもらうシステムで市場のミルク売りと同じ。瓶を持参しての量り売りだから無駄が無い。次回はカボチャのオイルも使ってみよう。サラダ、シンプルな焼きものの隠し味に最適。最後に新鮮な野菜を誇るトルコ屋さんで熟したアボカドやセロリ、泥付き人参や丸い蕪を…こっちではバジリコは鉢植えで売られる事が多い。トルコお得意の胡麻のエキスを固めたデザートや薄焼きパンのナンも買っておこっと。
野苺のお酢入り瓶。キッチン取り付けのバーの上です。後ろに見えるのは歌曲ピアニストのハルトムート・ヘル氏(白井光子さんとのデュオで有名)から戴いたフィンランドから来たトナカイ君のローソク立て、フィンランド女流画家ソイレの会で演奏したらプレゼントされた、彼女の作品の不思議モチーフを鉄のキッチンペーパー立てに仕立てたもの。もう一個はバスルームのペーパー立てになっている。考えたら我が家は頂き物だらけ…そんなに広くはないアパートメントに身分不相応な絵が10枚以上…
以上、数日間の饒舌ぶりでした。確かこの日は午前中にモストリークラシックスの電話インタビューも受けています。ちゃんと日本のお仕事もしていますね。
後ろは歩いて3分の市場。