旅するチェリスト水谷川(みやがわ)優子のブログ

2017-07-28 Fri 18:20
柔らかな天邪鬼→近衞秀麿ドキュメンタリー番組
今夜から明日にかけて祖父・近衞秀麿に関連する番組が3つ放送されます。

そういえば6月にはインティームなサロンでコンサートもいたしました。
(Blog記事「秀麿の冒険」)
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ワルシャワの撮影・収録から戻ったばかりの映像プロデューサー菅野冬樹さんとそれに同行した父・水谷川忠俊、私、祖父の曲などを一緒に弾いてくださったギターの鈴木大介さん
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ヒデマロを追って30年、執念の取材を重ねていらした菅野さんの迫力ある語り
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焼け野原になったワルシャワでポーランド人たちと祖父が演奏したシューベルトの未完成に思いを馳せて
大介さんと同じくシューベルトのアルペジオーネ・ソナタを演奏しました。

私には留学生時代より心の聖書とする本が幾つかあるのですが、そのうちの一冊は祖父の書いたものです。

留学先で突き詰めたい、掴みたい、と四苦八苦して 挫けそうになっては開いた本は
ヨーロッパの都市を横断する長い長い汽車の旅の伴でもあったエッセイ本です。
そこに記された言葉、行間に滲み出る祖父の考え方は時にはアナーキーなほど激しい。

きっと祖父のお公家さんらしい柔らかい物腰や言葉遣いをご存知だった方はびっくりなさったことでしょう。

昔、祖父のことを父は私に「あまのじゃく」という言葉で教えてくれたっけ。
祖父のように徹底はしていないし、きっとその何100分の1だけれど

長いものに巻かれたくない
人に言われるままじゃなくて自分で体験して、人生を決断したい
ときに痛みを伴っても、不器用でも、身体を使って理解したい
ほんの少しだけ自分にも当てはまるところがある、密かにそう思ったものです。

でもその天邪鬼が「まさかここまでとは」そう唸ったのは祖父のドキュメンタリーを見たとき。
そこに捕虜として囚われていたときの文章に感じとれたのと同じ、硬派で信念ある祖父の姿が映っていました。

幼い頃から祖父のエピソードは色んな音楽家の先生たちから聞かせていただいたものですが
そこに見え隠れする姿は全く違うもの。柔らかくてホワッとしています。
不思議だなあ。。。


さて、おじいさんの思い出は?
と訊かれて
くっきりと脳裏に浮かぶのは葬儀の映像。
幼い頃からまるで映画みたいに繰り返し繰り返し思い出します。

でも祖父が遺してくれた楽譜や文章、演奏の数々
そこに生き生きとした祖父自身を感じられるのは幸せ以外の何物でもありません。

つくづく、祖父という人は自分の「真」に対しては天邪鬼じゃなかったんだなあ。。。


では、以下に本日からの番組について記しておきます。
宜しければぜひご覧くださいませ!

NHK総合放送ミッドナイトシアター
7月29日(土)(今晩!)午前2:20~4:00


2015年に放送したドキュメンタリー番組「戦火のマエストロ 近衛秀麿」
皆さまのリクエストにお応えしてNHK地上波での放送となりました!

「戦火のマエストロ・近衛秀麿~ユダヤ人の命を救った音楽家~」 元首相・近衛文麿の弟であり、同盟国の客人としてナチスからも活動を許されていた秀麿の水面下での知られざる活動。それは、戦後、連合国側の取り調べから明らかになった。今回番組では、アメリカ公文書館で見つかった調書や、秀麿を知る関係者の証言を通じて、ユダヤ人演奏家たちの亡命を助けていた実態や音楽に身をささげたその個性を描き出す。 【出演】藤田由之,鳩山寛,クロイツァー・凉子,水谷川優子,水谷川忠俊,本多章一,【語り】益岡徹


スーパープレミアム
玉木宏 音楽サスペンス紀行 マエストロ・ヒデマロ 亡命オーケストラの謎」
7月29日(土)[BSプレミアム]後8:00~10:00


戦前からヨーロッパ・ドイツを拠点に活躍した日本人指揮者・近衛秀麿には、「表の顔」からは想像もできない、もう一つの顔があった。刻一刻と激しさを増すナチスのユダヤ人弾圧の嵐の中で、多くのユダヤ人たちを国外に脱出させ命を救っていたというのだ。しかし、その動機や手法は、いまだに多くの謎につつまれている。
マエストロ・ヒデマロはいかにしてその大胆な試みを企て実行していったのか、ドラマ「のだめカンタービレ」でクラシックのジャンルを超えて音楽ファンの心をとらえた俳優・玉木宏が、ヨーロッパ各地を旅し、「音楽史に眠るマエストロ・ヒデマロの謎」の解明に挑んでいく。


「死の都」に響いた「未完成交響曲」
〜1943.9.28 戦火のワルシャワ公演を再現する〜
【放送予定】7月29日(土)[BSプレミアム]後11:45〜前0:35


スーパープレミアム「玉木宏 音楽サスペンス紀行」の放送に合わせて、4K映像と5.1chサラウンド・オーディオによる「未完成交響曲」を全曲お届けするコンサートスペシャル。世界の音楽史に残る日本人指揮者・近衛秀麿のワルシャワ公演を、60名のポーランド人演奏家で編成されたオーケストラが演奏、指揮者にはウィーン大学名誉教授の前田昭雄氏を迎え、現代によみがえらせる。



いま見てみたら過去のBlogにも祖父の番組についてちょっと記していました。
戦火のマエストロ〜鼈(スッポン)の男?!
「戦火のマエストロ~近衞秀麿」の放送&NHK撮影@ベルリン
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2017-07-26 Wed 23:26
真夏の夢コンサート〜郡山の3日間
お暑うございます。世は夏休みなのですねえ。
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温度もさることながら、猛烈な湿度にチェロ雄も私も溶けきっております。
もう泳げそう。

鎌倉の夕暮れ頃には普通の蝉のコーラスに混じって「カナカナカナ」というソロが聴こえ…
なんだか微妙に秋にタイムスリップしたような気になります。
ヒグラシのみなさん、夏は長いのよ、しっかり!!


さてさて、先週は金曜日から3日間、ヴァイオリンの瀬崎明日香さんとピアノの島田彩乃さんと郡山にいっておりました。実に濃ーーーーーい週末でした。

1日目の金曜日は寿泉堂香久山病院の新病棟グランドオープンで竣工記念コンサート
新病棟1階ロビーにて演奏させていただきました。
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そもそも、今回の郡山でのコンサートのお話をいただいたのは遡ること3年前…
福島県内5カ所の学校でアウトリーチ、組織え最終日に郡山公会堂で行った「心のともしびコンサート」
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あの時にこちらの病院の春山和見院長先生の「ぜひ竣工のあかつきには演奏に来てください」という一言
それがこの3日間に繋がりました。
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(ご自身もフルートを演奏なさる春山院長とご一緒に)

この間、皆さまがどれだけご準備くださったか
またどれだけ心待ちにしてくださったか
しみじみ身に沁みた3日間でした。
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打ち上げにて!

前回に引き続きコンサートの仕掛け人の長崎大学名誉教授 菅家 正瑞先生と春山先生。
お二人はご兄弟のような間柄、幼馴染って良いなあ。
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左が春山夫人、しなやかにご主人を支えてらっしゃる素敵な奥さま
そしてチェロのお隣は病院で院長先生を支えてらっしゃるお二人
いつも和やかな空気の中に院長への敬愛が滲みでていて
「だからあの病院は居心地が良いんだなあ」としみじみ思いました。

そして翌日は朝からリハーサルでお昼からはミューカルがくと館にてそれぞれの楽器のマスタークラス
チェロは中学生4人に高校生1人、計5人の方を指導させていただきました。

こちらの伝えることをどんどん吸収する若者たち
若いっていいなあ、素直って素晴らしいこと。
彼らの真摯な姿勢にこちらがエネルギーをいただきました。

そして、ここで桐朋学園の高校で共にチェロを学んだ同級生(榊原 彩ちゃん)に再会!
一緒にいらしてたピアニストのご主人と彼女は20数年もパリに住み、最近になってご主人の故郷・郡山に戻ってきたところ。
その夜はいま考えていることや、音楽について語り合いました。
不思議に何年、何十年のブランクがあっても変わらず心を割って話せるし、話が尽きない。
人生の大事な時を共に過ごした友人に関し、そしてその彼女が選んだご主人もまるで旧知の友人のように思えた
そんな郡山での再会でした。

そして最終日の日曜日はメインの『真夏の夢コンサート
ホールは前回お隣の公会堂でコンサートした時に建築中だった郡山市中央公民館です。
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(撮影:中村義政さま)
前半は色んな組み合わせで弾き
メインにチャイコフスキーのピアノ三重奏曲「偉大な芸術家の思い出に」を演奏

写真はアンコールのブラームス:ハンガリー舞曲の演奏中
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3年前のアンコールも同じようなショットがあったような気が、、、
と思ったらありました。
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ふふふ

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一番左のかたと私の左隣が前出の私の友人、向山ご夫妻です。
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コンサートを主催してくださった「こどもたちに音楽を届ける会」の皆さまと一枚

この会はもう本当に至れり尽くせりで
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また楽屋にご用意くださったお野菜と果物の美味しかったこと!
そうだ、前回も福島の豊かなこと、美味しいことに心から感動したなあ。

この度も関わってくださった方々のお気持ちが伝わって暖かいコンサートになったと思います。

チャイコフスキーの約50分間、お客さま方がのめり込むように聴いてくださって
最後の音がホールに静かにたなびいて消えていくのを感じながら、その場にいる皆で一緒に呼吸しているのを感じました。
それはコンサートを形にしてくださった方々の思いがひしひしと伝わった瞬間でもありました。

郡山ではまた色んな出逢いが広がり、またご縁が絡まっているのを感じます。
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彩乃ちゃん、明日香ちゃん、ありがとう。
また、いつか3人で郡山に戻ってくることができますように。

郡山の、福島の皆さま、ありがとうございました!
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2017-07-19 Wed 13:33
そして日出処へ
ただいま〜!
肌寒いベルリンより昨日、帰って参りました。
暑すぎる夏も大変ですが、セーター着用の寒い夏も心細いもの。。。
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(「屋上でピスコサワー」↑こんな日もあったのに。)

今回はヘルシンキ経由だったので飛行時間が短くて楽でした。
ドライブルーベリーも買えるし。
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でもやっぱりこの国ではゆっくり過ごしたい。
今年の夏は行くことが出来なくて、、、すでに湖と森ロスです。サウナや釣り、黒パンもロス。
サウナの後に湖に飛び込び、タオルに包まれて桟橋で飲むシードルが恋しい。

いえ、でもいまは日本の冷奴に感動しております。
茗荷に紫蘇と生姜をたっぷりのせたお豆腐という小宇宙にエネルギーをいただきながら頑張ろうっと。

さて、7月のベルリン生活の最後はメンバーが集合してTrio SolLa(ソ・ラ)のリハーサルでした。
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NYから谷川かつらさん、パリから瀬川祥子さん、初日は簡単な手料理に北イタリア・トレンティーノの知人が作るロゼのプロセッコで乾杯!(私の席には手帳が置いたまま…失礼)

ソ・ラは今年は9月に日本と12月にヨーロッパでコンサート、来年の1月にもまた東京で大きなコンサートがあります。
それから来年はフランスと日本の親善友好160周年ということでいろいろと弾かせていただく予定。
いまから楽しみです。

ちなみに9月11日には日本橋三井アトリウムのコンサートがあります。
また詳細をアップいたしますね。

そうして今日からは同じ3人組でもピアノの島田彩乃さんとヴァイオリンの瀬崎明日香さんと過ごす5日間〜
今日と明日はリハーサル、21〜23日は郡山にてコンサートとマスタークラスをさせていただきます。
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(こちらは↑6月のリハーサル時の写真)
メインはチャイコフスキーの大作「偉大なる芸術家の思い出に」

郡山の中学生から高校生の若者にもレッスンして参ります。
いろいろワクワク…
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2017-07-09 Sun 00:18
災害のお見舞い、、、地球のバランス
ベルリンはいま試験シーズン
受験に進級に卒業、あとは各オーディションと
若者の涙あり笑いありの日々をおすそ分けされております。

さてグラナダの日記を書きたいと思っていたのですが
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ーその前に先ずはお見舞いをー

いまずっと九州は豪雨で大変だと聞いております。
どうぞ早くおさまりますように、これ以上被害が広がりませんように。

ベルリンより心からお祈り申し上げております。
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いま世界的に変な気候なのかもしれません。

前のブログで触れましたが
6月末に6日間、マークについてスペインの南アンダルシア地方のグラナダに行っておりまして
発つ前日にアンダルシア地方では大きな山火事が起こり
それが広がってまだまだ鎮火しないという状況でした。

その前の週にはポルトガルで大きな山火事があり、たくさんの方が亡くなる大惨事となったばかり

ともに長らく雨が降らず、乾燥している挙句に温度が高くて自然発生した火災だということです。
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現地グラナダの友人が「雨に降って欲しい」と切実に話すのを聞いた翌日のこと
今度はなんとベルリンが集中豪雨だという知らせが!!

「貴方たちの家の前が大洪水でニュースに出てるわよ」と送られた動画を見たら

地下鉄は立ち入り禁止で止まっている
乗用車は半分以上も水に浸かって立往生
人々が道を歩きじゃなくほとんど泳いでいる
という目を疑う映像のオンパレード!!

すぐ近くの広場では大人の顎の下まで水が来て
なんとサーフボードで移動するツワモノまでいたそうな。

すぐにうちから徒歩10分のアパートメントに住む友人に電話をしたら
ちょうど住民の男性みんなでバケツ式リレーで家の中の水を出している真っ最中。

実は我が家は地上階。。。
慌てて両隣のファミリーにご連絡したところ

建物の外も内側も中庭も問題なく、なぜか地下室も乾いていると言うではありませんか、、、

しかもバケツをひっくり返したような尋常でない雨は1日で収まったそうで
狐につままれた気持ちでした。

でも実際に丸一日でベルリンの年間雨量の4分の1が降ったとか!

いまは毎日忘れたころに太陽が顔を出すものの、7月らしからぬ肌寒さ。
昨日も夕暮れ時に30分だけ「夕立ち」などという言葉には収まらないほどの豪雨だったし
昨日の湿度は78パーセント、、、

ああ、スペインの太陽にあちこちの雨を吹き飛ばして欲しい。
代わりにその雨を贈りたい。
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足して2で割れたらよいのになあ、、、

今年は織姫と彦星は会えたのでしょうか。
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では次こそはグラナダ日記を!
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