早春のシューマン アンサンブルとは
毎日飛ぶように時間が過ぎて参ります。
土曜日は桐朋学園での仲間たちとのアンサンブルにマークを招いた室内楽のコンサートでした。
昔から知っている友だちとはなん年ぶりにあっても直ぐに時間が繋がります。
不思議!!
この日のオープニングはソ・ラの仲間でもある瀬川祥子さんのヴァイオリン、松実健太さんのヴィオラ、そして佐々木京子さんのピアノでモーツァルトのピアノ四重奏曲第2番変ホ長調
それからマークのヴァイオリンと松実さんでモーツァルトのト長調の二重奏
休憩にはこの日のためにフランスから運んだセレクト・赤ワインと、日本のこだわり蜜柑ジュースなどをサーブしていただきました。
急遽決まったにもかかわらず、完売御礼となったコンサート。都内の隠れ家サロンの雰囲気は素晴らしく、皆さまにもひと時、都会の喧騒を離れてアンサンブルを楽しんでいただけたように思います。
楽屋にもお客さまの盛り上がりの様子が伝わってくるほど。それは嬉しい雰囲気でした!
最後に皆でシューマンのピアノ五重奏を演奏しました。この曲は高校生のときに弾いた思い出があります。恥ずかしいほどなーんにも分かってなかったなあ。
正直にいうと、この曲に憧れたけど弾けなかった、あの時代には戻りたくない。
そんな青春を持つのは私だけでないのか?!この日は非常に熱い演奏となりました。
我々も和気藹々!
集中リハから打ち上げまで短かったけれど幸せにすごし
またの共演 早くの再会を約束しながら別れました。
それにしても10代の頃は桐朋の校舎で皆いろいろやってたなあ。こうしてそれぞれ音楽で身を立てられるようになるなんて、あの頃は想像すらできなかった。
昔知っている人と音を紡ぐのは、離れていた時間に何をしていたか知るような行為
それはそれは興味深いのです。
そういえば私にとってはマークは人生で一番長く一緒に室内楽を弾いているパートナーなのです。
だから音楽の成長においては幼馴染のような存在かもしれません。
初めて共演したとき、私はまだ留学生。がむしゃらに色々な勉強をしていたころ。
そういえば、あの頃も自分の先がどうなるなんて知る由もなかったなあ。ただひたすら目の前の音楽に没頭していた。
いや、いまも変わらないか。
振り返れば、私の音楽へのエネルギーの源はどの時代もアンサンブルの面白さにあったような気がします。
だからこそソロ(独奏)に向かうのも面白くなるのだと思います。たった1人で弾く無伴奏作品も見えない相手と対話する意識ができるし、また協奏曲も大きなアンサンブルだと実感できるのです。
アンサンブルは楽しい。
人と言葉でなく音でエネルギーを交わすのが面白い。
当たり前だけど、1人で弾けないのがアンサンブル
同じ曲でも、1人メンバーが変わると何かガラリと変わることがある
奥が深い世界です。
室内楽の愛好家の方は世界にたくさんいらっしゃるけれど、オーケストラやオペラ、ソロのリサイタルのファンの方には人数的にちょっと負けているかもしれません。
本来のアンサンブルは大ホールではなく、親密な空間で行われるべきもの。
お客さまが近く感じられる距離の舞台で俳優の息遣いを感じながら、演技やセリフ回しを楽しむような、そんな芝居小屋的な雰囲気が理想的です。
いえ、逆に言うと大きな舞台でもその親密さや、緊張感などが伝わる演奏をするようにならなければ。
もっともっと室内楽を愛する方が増えると良いなあ。これからもっともっとエネルギーを注ぎたいと思います。
アンサンブルは1人では弾けない。
出逢いとご縁に感謝の一言です。