旅するチェリスト水谷川(みやがわ)優子のブログ

2016-03-21 Mon 06:06
エジプト・エフェクトその1 「カイロと音楽」
さきほどカイロよりベルリンに戻って参りました。
サンドレス→ダウンコートに季節逆戻り。。。

そして明日の朝は日本へ向かうので半日だけの我が家生活、
いまはとにかく洗濯機フル回転でサハラの砂(?)をふるい落としております。

さてさて4度目のカイロ滞在、去年の春は伺えなかったので2年ぶりのエジプトでした。
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(カフェで仲良くなった黒猫、チェロを見ると寄ってくる。やけにおごそかな顔つき)
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(オペラハウスにて)

パリから4時間のフライトは
カイロ空港の滑走路に着地した瞬間にあちこちからカチッカチッとシートベルトを外す音がし
さらに立ち上がるわ
荷物は取り出しはじめるわ
電話しはじめるわ、、、
でゲートへ移動する飛行機は完全にローカルバス化!

相変わらずのエジプトっぽさにニヤリとするマークと私。

そうして入ったカイロの街ですが、革命の1年後から選挙に新政府の設立、モルシ元大統領への批判と失脚などなど、年に一度の訪問ながらこの国の揺れ動きをちょっとだけ近くに感じて5年、、、
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(4度目にしてすでにカイロが懐かしい場所に。。。)

この度は少しだけ人々の緊張感が減ったような気がしました。
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(ホテルにてビックリ1:部屋にはいった瞬間何か変だと思ったらベットのヘッドボードが??)
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どうもツインをダブルの部屋にして広さを演出したらしいのですが…これ大人6人は軽く眠れる特大サイズ。しかも枕元にスイッチがないので毎晩、電気を消しにいくのに一苦労)

折しも私が着いたときにエジプト大統領シシ氏は日本!
去年は安倍首相がエジプト訪問したし、在エジプトの香川大使もかなりお忙しそうでした。
日本のシステムを導入した新設の科学技術大学もどんどん拡大するようですし、日本はこれから年間数百人の優秀なエジプト人留学生を迎えることになるそうな。

去年の秋はプーチン大統領がこの国への原発開発を支援すると約束したし、この春は韓国でも原発への技術者の派遣など大きなサポートを取り決めたようで、シシ大統領はなかなかやり手、、、
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でもやはり原発より、ソーラーシステムが安全だし、この国では一番手っ取り早いのではないかとしみじみ思います。

まだ春だというのに、日焼け止めクリームが効かないエジプトの日差し、恐るべし!

サハラ一面にソーラーシステムを備えたら各国に売っても余るほどのエネルギーが生まれるのではないかと、、、
とまあ色んなことを見聞きしたエジプト約2週間の日々でした。
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(ホテルにてビックリ2↑ある日部屋に戻ったらこんなタオルの芸術品が!!)
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(ハート?いやスワン?!たった一回の謎のサービス(?)でしたが他の部屋には全くなかったらしい…うーんタオルで鶴折って返せば良かった)

もちろんこの旅の目的は音楽!!
カイロ音楽院とオペラハウスとのコラボレーションで個人の曲のレッスンをするマスタークラスと、学生とアンサンブルを共演してコンサートで演奏する2種類です。
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(音楽監督のラルフ、そしてマークと宮殿だったホテルマリオットにて束の間の休憩の図)

中には初年度から私のレッスンを受けてる子もいて、その成長ぶりに嬉しく思いました。
ガラコンサートは講師たちと、エジプト人で過去にこの講習会を受け、現在はプロ奏者として活躍する演奏家が出演しました。
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(美しい会場 Arab Institute )
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(幕開けはマークとの二重奏)

最後に若いエジプト人作曲家でヴァイオリン奏者Mohamed Ali Farag氏の作品「クラリネット五重奏」を演奏 ヴァイオリンはマーク、ピアノにラルフ、クラリネットにはカザルス音楽祭の監督ミシェル・ルティエック氏(前にプラドの音楽祭でブログに登場!)、ヴィオラはエジプト人奏者でドイツに留学したスーザン・サバー嬢、チェロに私。
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翌日はオペラコースのコンサート
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選出されたのは将来が楽しみな若者から、このマスタークラスの常連でオペラハウスの一員として活躍する歌手まで。皆さん、歌の奥深さを感じさせてくれました。

中にはヨーロッパの歌劇場のオーディションも突破できるであろう声の持ち主も!
ラストは生徒とのさまざまなアンサンブル
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(オープニングに演説するマーク)
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(…撮るつもりでバッチリ撮られてました…)

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チェロ3本とピアノでポッパーのレクイエム: 右からMarcellinoくん、Mohamed.Sさん、見えないけれどピアノのLamisuちゃんと。
3月11日をカイロで過ごしたのはたぶんこれで2回目。初めてのエジプト訪問は東日本大震災の翌年の3月、もともとエジプトには親日の方が多いそうなのですが、このときは現地の方がたくさん親身に声をかけてくださったのが胸に沁みました。今年もオペラハウスでは特別なコンサートが行われたそうで、私たちも鎮魂の思いをこめて演奏。
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ドホナーニの弦楽三重奏: 東欧らしいリズミカルな面と美しいメロディ、さらにフランス的な印影が混ざったユニークな作品
日本でも4月9日に演奏する大好きな曲です。なんと今回マークはヴィオラを担当!
ヴァイオリンはガラコンサートで弾いた五重奏の作曲者モハメッド、通称モーくんです。

ところで、毎年このマスタークラスは受講者から特に優秀な生徒数人に奨学金をだして夏にフィンランドで開催されるサボンリンナ・ミュージック・アカデミーに招待しています。
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(皆、良い笑顔!!)
過去に選出された生徒のなかには、さらに推薦を受けてヨーロッパの音大へ留学、現在ドイツのオーケストラやフランスの歌劇場のメンバーとなった人たちもいて、カイロの学生たち曰く「夢への道を開く門」として見られているそう。

上記のマルチタレントの持ち主、モーくんもこの夏はフィンランドへ招聘されることになりました!
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(コンサート後にカイロの夜を知らない私たちを廃墟っぽいビルの屋上の隠れ家みたいなお店に連れていってくれたモーくん、水煙草<シーシャ>を吸ってます。ちなみに味はピーチ味(笑))

マークの父親、ピアニスト&指揮者のラルフ・ゴトーニがはじめたフィンランドとエジプトの「ミュージックブリッジ」の試みもこれで9回目。

これを続ける意義をわかってくださる方もある一方で、支援者をみつけるのは非常に大変そうです。ラルフによれば自国フィンランドではただでさえクラシック音楽へのスポンサーの獲得が難しく(シベリウスの国だと思うと驚き!)、音楽を通しての国際親善と若者の育成のためとはいえ、フィンランドからはアラブ諸国の存在が遠すぎて人々の理解を得にくいのだという話。

でも、そんな苦労をものともせず、いつでもポジティブに物事に向かう義父なのでした。
彼曰く、『学ぶ喜びをもって謙虚に音楽にむかう若者の姿からは国籍を問わず、思いがけないほどの力をいただくもの』

そういえばフィンランド大使館の方に「エジプトとフィンランドに日本がはいってこの文化の橋はますます丈夫になりましたね」と仰っていただきましたが、もちろん来年の10周年もここに来ようと思っています。
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(ラルフと皆でカイロの街と月と星をみながら気炎をあげました)

さてそろそろ日本行きのパッキングにかからねば〜
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