Bach im Bach~バッハ 響きの鏡像@東京文化会館

こちらのBlogもfacebookもずいぶんと御無沙汰してしまいました。。。 
まずはお詫びに今朝の(もう日付けが変わってしまったけれど)円覚寺さま境内の紫陽花など↓

一言で紫陽花といっても随分といろいろな種類があります。

こちらなどは赤ちゃんの頭より大きいくらい↓

というわけで金曜日、お陰さまでリサイタルシリーズ第9回目となる「Bach im Bach~バッハ 響きの鏡像」を無事に終えることができました。

(撮影 : Naoko G Nambaさま、中村義政さま、ありがとうございました)
 
怖いプログラムかなあと懸念していたのですが沢山の方々にいらしていただけて幸いでした。これもいろんな記事で取り上げてくださり、それぞれの記者の方が読者の心を高揚するような御文章を書いてくださったから。。。感謝! 
 Blogを楽しみにしてくださった方には申し訳なかったのですが、ご想像のとおりこの春から予定を欲張りすぎたか、はたまた、このプログラムがチャレンジすぎたのか、体力的にも精神的にもどんどん余力がなくなり、なんだか追い込まれました。

最後はチェロと自分だけが残るように感じていましたが、
 曲を委嘱し、また素敵なプログラムノートまで書いてくださった杉山洋一さん 
 そして盟友ピアニスト黒田亜樹さんという素晴らしい芸術家ご夫妻にイタリアでも日本でも私の芯の部分を支えていただいて 
なんとか最後まで駆け抜けることができたように思えます。

もちろん、他にもたくさんの方々に応援していただいて、実務面でも強力にサポートしていただいて、家族の皆にもいろいろ甘え、、、ました。申し訳ない。 
そして、ありがとうございました。 
この晩を共に過ごしてくださったお客さまお一人お一人に心から感謝申し上げております。 
 
このたび、実はリサイタル3日前に曲目の一部を変更しました。こんなこと自分ではなかなか、しません。
 
プログラムの曲順は杉山さんの新曲の完成を待って決定したのですが、出来上がってみれば思わぬ大曲で、しかも非常に深い内容のものだったため、弾いていくうちにシャコンヌの居場所がなくなりました。
 
いまの私はシャコンヌを弾くと非常に強いエモーショナルなものが噴き出してしまいます。かたや杉山さんの作品は淡々とした音の運びの中に力強いエネルギーが流れ、それが進むにつれて慟哭を体験した人の魂の叫びのようなものに変わっていくように感じます。これを2つ並べたら、私も、お客さまも恐ろしい目にあうなあ。。。と悩みました。いくらこのリサイタルシリーズが私にとっての挑戦であっても、帰結できなかったら意味がありません。 
入り口と出口も必要ですが、流れはもっと大切!プログラムの中の自然な流れが切れてしまうのを恐れました。 
そして、いま一度タイトルの「響きの鏡像」にたちかえって考えて、無理なく自然に感じられたのが以下のものです。こうしてバッハを映す鏡のプログラムができました。 
 
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第3番ハ長調BWV 1009
杉山洋一:ベルリンのコラール J.S.バッハ「目覚めよと呼ぶ声す」によるチェロ独奏曲(委嘱・日本初演)
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調BWV 1008 
---休憩---  
アルヴォ・ペルト:フラトレス
アルフレード・シュニトケ:チェロソナタ第1番
アルヴォ・ペルト:鏡の中の鏡

アンコールには愛する無伴奏ヴァイオリン・ソナタの2番より「アンダンテ」をピアノとチェロで。幼いころの私に「チェロの刷り込み現象」をしたカザルスに憧憬をこめて演奏しました。
バッハを敬愛したカザルス、、、  
皆が誰かの背中を見ているとしたらバッハは誰の背中見ていたのかな。

ありがとう。ひたすら感謝を。 
ところでこちらは前半の無伴奏を弾き終わったところ↓

ドレスはデザイナーの鈴木芳子さんに祖母の帯と帯締めを使っていただきました。

舞台のお花はこの前半のドレスをフューチャーしたもの。紫陽花を使ったアレンジはフローリストの野崎由理香さんの作品です。 
  
それから大事なこと、今回の後半のプログラムを表現するのに亜樹さんが選んだのはYAMAHAのCFX、そしてご無理をお願いしてYAMAHAの酒井武さんに調律をしていただきました。酒井さんは私たちの馴染んでいるヨーロッパの「響く音」を造ってくださり、また曲のイメージも共有して調律してくださる稀有なコンサートチューナーなのです。職人そして心はアーティスト、ここでも強い味方が助けてくださいました。  
さて昨日は1日チェロ雄に触れないで、心と身体、耳の禊をしたので、いま冷静にいろいろ振り返ることができます。(禊は切り替えのために必要です。切り替えできないと、自分が弾いた音、体験した音の形骸が数日間、耳に纏わりつくのです。それは過去の亡霊のようなもの) 
そうやって距離をもってみたら、先ほど書いた「余力がなくなる」というのは、逆に言うと、要らないものを持っていられなくなってどんどん捨てていくという、削ぎ落とされる不可欠なプロセスであったのだなあと気が付きました。  
ふむ。このリサイタルシリーズ、来年はとうとう10周年です。 
もちろん、いまからスペシャルな内容のものを考えています。舞台の上も下も一体となって大切なことを分かち合えるような、そんな日にしたい。 
2017年5月14日の日曜日、 場所はまた東京文化会館です。お楽しみに!

さて亜樹ちゃんとは秋に大きなプロジェクトも控えていますが、近々では7月2日に広尾の南麻布セントレホールで行う「熊本地震被災地応援チャリティコンサート」にて共演します。 
それから杉山さんの作品は、これからも弾かせていただきます。 
留学生時代に黛敏郎さんの「BUNRAKU」に出逢ってからずっと弾き続けて、いま曲が私の言葉、身の一部になったように、この曲を自分を映す器となるようにしたいと願っています。
おまけ 
実は本番で譜めくりをしてくださったのも亜樹ちゃんなのですよ。。。笑
 皆さま、またお聴きください。
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Category: Diary コンサート
Published on: Mon,  20 2016 01:21
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