祖父・近衞秀麿の本

祖父について書かれた本が出来ました。
その名も「近衞秀麿 日本のオーケストラをつくった男」

実は奇しくも、先日の朝日カルチャーセンター講座「水谷川優子 祖父・近衞秀麿を語る」の当日に講談社から出版されたもの…この日、5月20日は水谷川の祖父(秀麿の末弟、水谷川忠麿)の祥月命日でもあり、偶然が重なったことに因縁すら感じました。

編集者である矢吹氏と著者・大野芳氏はこの数年間というもの、祖父の軌跡を辿ってお過ごしになった訳ですが、なんせ昔の事…資料はともかくとして取材中にも証人がどんどん亡くなっていく状況、その意味でこうして形になるまで厳しい時間との戦いであった事とお察し致します。
大野氏と矢吹氏は今回この<時代に翻弄され、かつ自由奔放な人生を送った指揮者>である秀麿の伝記を一冊にまとめる都合上、完成原稿の三分の一以上を削らざるを得なくなったそうです。拝読させて頂いた印刷されなかった大部分は、音楽家の目から見ると貴重な資料…少し残念に思いました。ましてや、取材調査をされた大野氏、ご自身はまさに身を削る思いでカットなさった事と存じます。

祖父が亡くなってから、それは長い月日が経ちました。
日本音楽史上、その業績においても指揮者としても、伝説的な存在と言われている近衞秀麿ではありますが、今までたった一冊の伝記も出版されなかった事に複雑な感情を抱きながら、この度<人間・近衛秀麿>を描く最初の伝記となったこの御本に深い敬意を表したく思います。

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昭和42年に講談社から出版された祖父の本「風雪夜話」、その文章はリズム感良く、心地よい。
痛い様に私の心に染み渡る部分と、父の父という、たった二代前の事なのに遠い昔の事を読んでいる気持ちになる箇所とがあります。祖父の代までの価値観はある意味、平安時代から変わっていませんが、日本は第二次世界大戦を境にして善くも悪くも<変わった>のだとつくづく思わされます。

祖父によってチェロという楽器を与えられた私です。
この時代に生を受けた一人の人間としては、自分自身の人生を全うする事に全てを挙げるのみ…
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Category: Diary コンサート
Published on: Wed,  24 2006 14:18
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