yuko miyagawa
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極夜の明ける日
2011-01-19 Wed 11:25
『2ヶ月ぶりに太陽が!』というメールがきました。
「へ?!」と思ったら、フィンランドの北部ラップランドで2ヶ月もの間お目見えしなかった太陽が10分ほど姿を現したとのこと。

北欧の「白夜」は有名ですが、冬に<登らぬ太陽>の「極夜」となるのはご存知でしたか?
フィンランド語では kaamos、英語では polar night というのですね。
1135263079752.jpg
長~く暗~く寒~い冬をひたすら堪えた生きとし生けるもの全てが、この太陽の姿に「春への希望」をとり戻すのかもしれません。

まあ、暗いと言っても「闇」ではなくて薄暗がりくらいだそう。
首都のヘルシンキなどは南端にあるので「今日はひどく曇ってるなあ」という程度です。
それでも毎日毎日来る日も来る日もチャコールグレーの空では、さぞ気が滅入るだろうなあ…

極夜で思い出すのが、作曲家・故ノルドグレン氏の音楽祭に呼ばれて、フィンランドの北西の町カウスティネンKaustinenを訪れたときのこと。

ちょうど1月で寒いのなんの…吐息がそのまま氷の塊になりそうな極寒でした。
しかも猛吹雪で目の前1メートルが見えない!車から会場までチェロを背負っての数歩のあいだに遭難するかと思ったほど。

 翌朝は吹雪がやんで地上はまっ白
 無音で休みなく舞い落ちる雪に空もまっ白

純白の雪の照り返しがあんなにも明るいものだとは思いませんでした。
銀世界は完結していて、確かに太陽のでる幕はないかも。

白夜も不思議の国に舞い込んだような気になりますが、極夜も相当なワンダーランドです。

 夜なのに太陽がいる
 朝なのに太陽がいない…
『こんなエクストリームな国だから、フィンランド人はF1(ハッキネン、ライコネン、ミカ・サロ)やスキーのジャンプ(ハウタマキ、アホネン、ニュカネン)のように生死を懸けるスポーツで活躍するんだよ。』とはM夫の言葉。

 なるほど。なんだかカレワラの勇者を彷彿とさせます。

写真をじっと眺めていると「現世と常世の境目」のように見えてきませんか?

 なんだか身体の奥底で細胞がムズムズザワザワメキメキ。。。
 久々に森に行きたいな~
 
さて細胞ザワザワ…といえば、この前はチェロでそんな体験をしたばかり。

アクア・トリニティでバロックピッチ(A=415Hz)に下げてリハーサルしたのです。
もちろん平均率ではなくて古典調律。

最初の大ショックは普通に弾いているのに半音下がって聴こえること。
耳が勝手に正しい音を弾きたいと矯正するわ、指が探り出すわで、もう大変な騒ぎ…

バッハの5番やペールギュントの「魔王の宮殿にて」などでスコルダトゥーラscordatura(変則的な調弦)に慣れていると思いきや、それが全弦さがっていると、お手上げでした。
完全に絶対音感の呪いに縛られています。侮っておった。。。

でも楽器自体は響きが解放されてチェンバロとの共鳴度も倍増するし、古典調律も非常に納得がいきます。
やればやるほど面白くなってきて、それはそれは楽しい時間となりました。
チェロ雄もご満悦なようで低弦がうねって鳴っていましたよ。
F1001372c.jpg←ついでにエンドピン無しに挑戦中
それこそ、耳も手もすべての感覚が目覚めてくる感じ。
細胞が身体の奥でメキメキ音をたてて変容する時間でした。

もっと研究して慣れたいし(牧子センセがサジを投げなければ…)
これでバッハも弾きたい!

日常生活においても、極夜にて太陽が姿を現したほどのショックを受けることができるものですねえ。
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