あれから1年~福島県 二本松コンサート
またまたブログ更新が滞ってしまいました!
昨日は「あれから」1年…
色んなことを思いながら5月のリサイタルのリハーサルに励んでいました。
震災の後しばらく、たくさんの方がそうであったように、私も無力感に纏わり付かれ、問題の大きさに圧倒されると同時に自分の情けなさにも落ち込みました。
それから、ずいぶん時間がたったあるとき、ふとベートーヴェンを聴くと、後から暖かい気持ちになっていたのに気がつきました。空っぽになっていた心に、ホンのすこしですが、勇気というか、生きる力のようなものが戻ってきたのです。
理屈では説明できませんが…ベートーヴェンの音楽には、どん底にあっても希望が湧いてくる、そんなエネルギーに満ち溢れている気がします。
また先日の聖路加のホスピスでのことや、8日の福島二本松での復興支援コンサートをでの鮮烈な体験をとおして、色々なことが心に浮んできます。
私の稚拙な言葉では言い表せないようなことですが、いまはただ、しっかりと「今」を生きて音にしていきたいと切に願うのです。
An Die Hoffnung...5月のベートーヴェンに思いをたくせるよう音を磨きます。
さて、こちらは福島県二本松市に行われた東日本大震災復興支援コンサート「いのち無尽 音まんだら」の写真です。
ホール
バリトンの松尾さんとピアノの岸さんのリハーサル中
招待された仮設住宅の方に振る舞われた高野山のお精進料理!!
お精進って「命をいただく」ことなのですよね。ほんとうに素晴らしいものでした。
楽屋では感嘆の声をあげながら『こんなスゴいものを召し上がったら、皆さん満足してコンサート聴かないで帰っちゃうかも?!』と半分冗談で心配していたほどです。
コンサートの1部は高野山三宝院さまのご住職様のご説法とお坊さま方の声明に心を浄化していただいて、2部の演奏にむかいました。
最前列はお花をくださった地元の小学生たち、ほんとうに可愛い~
コンサート終了後は主催の大七酒造さまの美味なお酒をいただきながら打ち上げ、杜氏さんもいらして興味深い夜となりました。
この特別なコンサートでは、機会を作ってくださった方、出演者の皆さま、会場の方々とひとつになったように思います。御縁があった皆さまに心より感謝もうしあげております!
こちら↓は鷲林寺ご住職の藤原栄善さまが当日のことをかかれた御文章を引用させていただきました。
『高野山のお師匠さまと共に東日本大震災で犠牲となられた方々の菩提と被災地の一日も早い復興を願い「いのち無尽音まんだら」が開催されました。仮設住宅で暮らされる100名の方々もご招待し、500名収容の会場は満席。声明を唱えさせていただき、お祈りさせていただきました。お勤めのあとは水谷川優子さんのチェロと松尾健市さんの歌と岸 洋子さんのピアノのコラボ。
会場の皆さんは素晴らしい音楽で日頃のお疲れも癒されたのではないかと思います。
最後に、参加された全員で「ふるさと」を合唱しました。会場に来られた方々は歌いながら泣いておられました。私たちも泣きました。ふるさとを思う気持ちは皆同じです。一日も早く、ふるさとで平穏に暮らせるようにお祈りするばかりです。
改めて犠牲となられた方々の菩提と一日も早い復興をお祈りしております。』
さて…
次のことは、こちらに書くか迷ったのですが…
コンサート終了後にホール近辺にお住まいでオーストリアと御縁があるというお客さまが訪ねてきてくださいました。笑顔が素敵なおばさまで、しばしお話したのですが、帰りがけに通路までお送りするとためらいがちに
『あなたみたいな若い方が、こんな被爆地にきてくださって…ありがとう』と一言だけおっしゃったのです。
もう、ただ握手して「また伺います」としか言えませんでした。
震災の原発事故のせいで、こんな風に日本が引き裂かれようとしているんだと痛感した瞬間でした。
実際に危険といわれる地域/安全といわれる地域ができたことにより、人々の心に見えない境界線が生まれるのだけは避けなければなりません。
そんなことを思いながら、今日はいまから新潟にうかがってきます。
あちらは大雪のようです。。。
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